食べたものの水分は、主に大腸で吸収します。そのとき、精神的な緊張があると、自律神経の働きで腸が活発になりすぎ、食べ物の通過が早くなって水分を吸収する間がなくなってしまいます。これが、精神的ストレスからくる下痢です。
こんな症状がたまに出てくる分には、あまり問題はありません。ところが、通勤電車の中で、いきなりお腹が痛くなって、駅のトイレにあわてて飛びこむといったことが、頻繁に起こるようになったら要注意です。こうした症状は過敏性腸症候群という病気の疑いがあります。
また、下痢だけでなく、便秘と下痢を交互に繰り返すこともあります。これも、過敏性腸症候群の症状のひとつですが、同じように精神的なストレスが引き金になっていますから、対症療法的に下痢止めや下剤を飲んでも、あまり効果は期待できません。
このような症状が出てきたら、自分の日常の生活習慣や気持ちのもち方などを、もう一度、見直してみられることをおすすめします。なぜなら、毎日の生活リズムをきちんと整え、不安への対処のしかたなどを身につけることによって、改善されることが多いからです。
鍼灸治療(はり灸治療)では、副交感神経を高め身体をリラックスさせます。そして、ストレスを和らげ、日々の疲れをきちんと取ることで、トイレの回数をぐっと減らすことができます。また、根気よく治療を続けることで、下痢の症状をほとんどなくすこともできます。