日本女性の平均な閉経年齢は、50歳くらいといわれています。この年齢をはさんだ前後数年間、つまり45~55歳くらいが更年期にあたります。では、なぜこの時期に更年期障害というありがたくない症状がでてくるのでしょうか。
年齢を重ねるにともなって、卵巣の機能は衰え、そこから分泌される女性ホルモン、エストロゲンの量も急激に減少してきます。一方で、脳から卵巣へはエストロゲンを分泌せよ、という指令がこれまでどおり続きます。ここで、指令は出るけど、肝心のエストロゲンが出てこない、という状況になります。このギャップによって、のぼせや冷え、顔のほてり、発汗、眩暈(めまい)、イライラ、気分の落ち込み、不眠など、さまざまな症状が出てくるのです。また、不定愁訴という言葉どおり、気になる症状がくるくると変わるのも、更年期障害の大きな特徴です。このとき、気分の落ち込み続いて、更年期うつという状態に陥ってしまう方もいます。
東洋医学では、このような症状に対して常に心身全体の不調和を改善する事を主眼とした治療を進めていきます。その中でも特に全身を流れている「気・血・水」におけるバランス調整が重要です。
養生法としては特に食生活に配慮し、たんぱく質や鉄分、カルシウム、ビタミンB・Cなどが不足しないように食材を選択すると共に三食規則正しく、よくかんでゆっくりとること。日常生活では身体的なリズムを整え、その日の疲れ、ストレスは翌日に残さないように入浴、音楽などで心身をリラックスさせ十分な睡眠をとることが大切です。
鍼灸治療(はり灸治療)では、背骨の上にあるツボを各病症に応じて使用しますが、不眠やイライラが激しいときは「神門」「少衝」などのツボも有効です。